研修医・指導医交流会
第2回 臨床研修医・指導医交流会
開催情報
報告書
概要
開催日:2014年9月20日(土)~9月21日(日)
場所:沖縄県自治会館
主管:豊見城中央病院
参加施設:19施設
参加者合計:102名
参加者内訳:研修医70名、指導医27名、看護師1名、事務4名

9月20、21日に豊見城中央病院が主管となり、第2回VHJ機構臨床研修医・指導医交流会「交流~2日間で終わらせない関係~」をテーマに沖縄県市町村自治会館で開催。前回は研修医のみを対象とした交流会だったが、指導医も多く参加されたことから今回から指導医も対象となった。
交流会は研修医、指導医と別々の部屋に分かれアイスブレーキングを兼ね自己紹介から始まった。研修医はワールドカフェ形式*にて1グループ7~8 名の10グループに分かれ2日間で下記項目について議論が行われた
*複数人の会議での討論の一形式。与えられたテーマについて各グループで複数人が議論し、次にファシリテーター以外は他のグループへ移動し、そこのファシリテーターから前の議論の内容を聞いてからさらに議論を深め、これを何回か繰り返した後に、各グループのファシリテーターがまとめの報告を全員にする。参加者が少人数で自由に発言しながら、他の人々の様々な意見にも耳を傾ける機会を増やす方法
①「研修生活への満足と不満」
②「1年目から2年目へ、2年目から1年目への想い」
③「明日から使える具体的な改善策」
④「指導医に期待すること」
⑤「将来のビジョン~少年よ、大志を抱け~」
各グループには主管の豊見城中央病院の研修医がファシリテーターとなり、活発な意見交換、交流の場になるよう促してくれました。
2日目の朝は研修医、指導医とも同じ会場に集まり、沖縄版ラジオ体操から始まった。独特な振付けで、朝から楽しませてくれました。

研修医のワークショップ内容
1日目
①「研修生活への満足と不満」
学生の頃に思い描いていた初期研修と、現在の初期研修の実状との間には少なからず差がありませんか?現状に対して満足している点・不満な点についての協議を通し、お互いの研修生活の現状を共有しよう。ワールドカフェ形式で自由に語りましょう。
満足している点
・当直の時にすぐ相談できる上級医がいる
・同期に恵まれている
・指導医が熱心
・毎週症例反省会がある
・コメディカル発信の講義がある
・科の敷居が低い
・検査に関してもフィードバックがある
・若手が生き生きと働いている
・当直明けで帰れる
・ローテートを自分で決められる
・当直室がきれい
・他病院との交流がある
・適宜フィードバックしてもらえる環境
・コメディカルの人と話しやすく優秀
・救外当直で上級医の許可で帰すシステム
・救急車の台数が多い
・症例のフィードバックを個別にしてくれる
・発表の機会が多い
・後期研修医が多い
・病院側が意見を聞いてくれる 等
不満な点
・若手の先生が少ない
・受け持ち患者が多すぎる
・内科ローテートが短い
・当直のフィードバックがない
・症例が多くて消化不良
・最後まで症例を見ることができない
・外傷が少ない
・研修医の机がない
・「昔はもっと…」って言われても
・屋根瓦方式が形成されていない
・他病院との交流が少ない
・選択科研修が少ない
・外科と整形外科が選択
・手技、救急車対応が少ない
・当直への負担が大きい(病棟、ウォークイン、救急車)
・当直代安い、給料が低い
・自己責任が大きい
・もっと内科を充実させてほしい
・後期研修医が少ない 等

満足している点

不満な点
②「1年目から2年目へ、2年目から1年目への想い」
同じ研修病院の中の初期研修医という立場でありながら、“見ているもの”“考えていること”“求められているもの”がきっと違うはず。お互いを知ることで明日からの研修が活き活きすること間違いなし!?こちらもワールドカフェ形式でのセッションですが学年別に分けて進行。
1年目から2年目への想い
・2年目ともっと交流したい
・プライベートで遊んでくれる
・夜起こしても機嫌が良い
・優しすぎるかも(もっと厳しくしてほしい)
・失敗談を教えてください
・将来の話をしたい
・自分のできないことを指摘して
・手技の独占はやめて
・いざという時に助けてくれる
・存在がプレッシャー
・外病院へ行ってしまうので交流が少ない
・ERでの対応が素早くてかっこよかった
・検査の特性まで把握している
・タイムマネジメントできる2年目になりたい
・頼れる存在、一番相談しやすい、身近な存在
・自分が2年目みたいになれるか不安
・もっとご飯へ行って話したい
・後期研修医で残ってください
・支えです 等
2年目から1年目への想い
・分からない時は怒らないから訊いてほしい
・もうちょっと知識に貪欲になってほしい
・他職種と仲良くして欲しい
・2年目より勉強している、勉強熱心
・レスポンスが早い時、とても嬉しい
・できない事を恥じない
・新しい視点があり気付かされることが多い
・アセスメントが仕事です
・研修医室でもっと患者の話をしよう
・もっと教えたい
・1年目が大事な時期だから頑張って
・一生懸命頑張っている姿はこっちも頑張らないと思わされる
・もっと2年目を突き上げて欲しい
・もっと2年目に聞いてほしい、フィードバックをもっとしてあげたい
・1年目がいて楽しい、みんなそれぞれ違っていておもしろい
・もっと接点が欲しい
・教えることでこっちが成長させてもらっています
・ひたむきな姿に刺激をもらっています
・教えるのは難しい
・気軽にコンサルとしてくれてありがとう 等

1年目から2年目への想い

2年目から1年目への想い
③「明日から使える具体的な改善策」
①「研修生活への満足と不満」②「1年目から2年目へ、2年目から 1年目への想い」を通じて改めて自分の研修生活を客観的に見つめなおします。各環境の中でより良い研修生活を送るために、すぐに実践できる具体策を持ち帰ることを目的とする。

前述の①「研修生活への満足と不満」②「1 年目から 2 年目へ、2 年目から 1 年目への想い」で出たコメントから今後の研修生活をどのように送っていくのか、どうしていくべきか話し合われた。
・同期を大事にする、もつべきものは同僚
・明日から頑張る
・その場で質問する
・将来診ない症例を大事にする
・ぼーっとしない
・当直の数を増やす
・1 年目同士でも症例報告など勉強会を行う
・思考力を身に付ける、早くする
・まずは一つから質問してみよう
・3 分前行動
・周りに目を配る努力をする
・怒ってくれたことに感謝する
・悪口は言わない、まずは認めること
・1 年目の先生も一生懸命に仕事しているので、やったことに対しては褒めたいと思う
・息抜きもできる人間になりたい
・夢を持つ、そのためには目標となる人を探す
・いろんな人といろんな話をする
・フットワークの良さ=研修医の仕事
・1 年目で日々症例を振り返る
・同期が診た症例のカルテも勉強になる 等
2日目
④「指導医に期待すること」
おそらく多くの人がこの先指導医になるでしょう。これまで見てきた指導医の姿について話し合い、医療者としての自分の未来像について考えるきっかけとしましょう。もちろん素敵な指導医についても語ってください。KJ法を使って意見を出し合いましょう。

「理想の指導医」
・器の大きさ
・いつも笑顔
・質問しやすい空気感
・見守ってくれる
・当直明けを理解してくれる
・「やっといたから」よりも「こうやったらいいよ」
・アメとムチ
・間違いを指摘してくれる
・教育的
・勉強法を教えてくれる
・根拠をもって説明できる
・フィードバックが具体的
・プライベートと仕事が両立
・ハイパフォーマンス
・ユーモアがある
・患者にやさしい
・コメディカルからも好かれている
・たまに夢とか語る
・楽しそうに働いている
・よく話を聞いてくれる 等
⑤「将来のビジョン~少年よ、大志を抱け~」
研修生活にとどまらず、医療を超えた人生の大きな夢について語り合おう。自分のうちに秘めているものを語ってみては?
参加した研修医たちは日頃抱いている悩みや不満?自院の自慢話や普段言えないような感謝の気持ち等様々な思いを語る姿がとても印象的でした。研修病院は違えども同じ思いを持った同志という事もあり、終始笑顔と会話は絶えなかった。本交流会のテーマ通り「2 日間で終わらせない関係」を築けたのではないでしょうか。
指導医の意見交換会内容
1日目
指導医は参加者全員が 1 つのグループとなり、地元の名産の紹介と共に自己紹介が行われた。
まず始めに「私が研修医の頃は…」というお題で、指導医の先生方の若い頃の経験談が話し合われた。ある指導医は「紹介状など手書きの書類を上級医に見せ何度も書き直しをさせられた」「厳しい言葉を浴びせられた」「医者としての扱いがなかった」という苦い経験談も。また教育について「昔は先輩や上級医の姿を見て学ぶ、という時代であったが今はそういったスタンスではなくなってきているのではないか」「過去と現在の研修医では研修制度の影響もあるのか『教育』という言葉の捉え方に違いが出てきたのではないか」といった話しや「指導医のパッションが足りないと研修医には選ばれないのではないか」「昔に比べ医療等に関する情報のリソースが増え今の研修医が羨ましい」といった話にも展開した。
その後は別室で行っていた研修医の議論された内容を聞き、また模造紙に書き出されたコメントを見る時間が設けられていた。模造紙を見終わると指導医は研修医とは別会場の部屋へ集まり、模造紙に書かれた日頃研修医たちが感じている想いについて議論がなされた。
救急当直後の指導や症例のフィードバック方法、当直体制について「朝 8:00 から引継ぎも含めた入院患者の振り分けカンファレンスを行っている」「帰宅患者のカルテ記載内容や帰宅説明についてフィードバックを行うようにした」「後期研修医が何科であろうと救急研修を 1 ヶ月以上義務付けている」「救急では初期研修医 1、2 年目と後期研修医が主になり救急のスタッフが指導を行っている」といった自院の取決めやルール等の情報交換。また現在研修制度上、研修期間は 2 年であるが成長面や責任感も考慮すると 3 年研修も必要ではないかという話題にもなった。
その他には下記項目が話題となった。
・各病院の実情、研修プログラム、研修情報
・総合診療科、総合内科、救急科の研修へのかかわり方
・自院で問題視しながらも解決できていない悩みや現状
・研修医の成長の評価方法
・教育への取り組み方
・研修プログラムに対してどのように取り組んでいるか
・研修医から出てくる不満に対して各病院でどのように対応
しているのか解決策の相談 等

2日目
指導医は昨日同様 1 つのグループになり、2017 年度から始まる新専門医制度の話題から始まった。
特に内科専門医についての研修をどう行っていくのか、自院ではカバーできない領域がどうしても出てくるといった悩みに対しては、現行の VHJ 機構専攻医交流研修制度に於いて自院の強みを出すことと制度の活用について更なるアピールが必要で、弱い部分の研修を会員病院相互で補っていくという研修制度の構築を推進していくべきだ、という意見も出た。
また「今後の専門医の育成は大学主導で育てるという意識・志向が高まっており、17 年度以降は後期研修医が来なくなるのではないかと危惧している」という話も出たが「大学主導では症例が足りないため市中病院へ出ざるを得ない状況になるだろう。いずれにしてもカリキュラムが出ない事には研修プログラムもつくれない」といったように、日頃の悩みに対してどう対処していくべきか等議論された。
指導医の教育ポリシーについても伺えた。
・自己問題解決力を身に付けられるようになってもらいたい
・思考力を身に付けさせたい
・患者、他職種とのコミュニケーションが大切である
・言葉遣い等の生活指導もすべき
・カルテ記載の教育
(現在はカルテ開示を求められる時代になった事から、開示できる内容での記載を指導)
懇親会
1日目の交流会終了後には、本交流会の第 1 回目開催の主管病院である手稲渓仁会病院理事長・院長 田中繁道先生の乾杯の発声と共に懇親会が行われた。懇親会では参加した各病院が壇上に上がり病院紹介を行った。自病院のアピールや交流会に対する意気込み、中には病院名を人文字で表すユニークな研修医もいて会場は大いに盛り上がった。懇親会終了後、研修医たちは二次会へ向かい沖縄の夜を満喫し更に交流を深めたようであった。

