研修医・指導医交流会
第5回 臨床研修医・指導医交流会
開催情報
報告書
概要
日時:2017年11月11日(土) 13:00~18:30 懇親会 19:00~21:00;ホテルマリターレ創世久留米
11 月 12 日(日) 9:00~12:00
場所:久留米シティプラザ大・小会議室
主幹:聖マリア病院
参加病院:22病院(指導医32名、研修医82名、事務5名、VHJ機構4名)
※当院参加数含む
テーマ 「僕らがつくる研修病院」
第1 部研修病院の理想と現実
なぜ「研修病院の理想と現実」というテーマになったか
昨今の労働環境の問題で、我々医師も労働者であるという認識が一般的になってきました。今までは理想であった研修病院が、ともすればブラック病院と呼ばれる世の中に変わりつつあります。
そこで、現代の研修医と、かつて研修医であった指導医の先生方が求めるそれぞれの理想の研修病院、研修医像にはどの程度乖離があるのか。我々初期臨床研修医はどのような期待感、不満感を抱き日々の診療に取り組んでいるのか。本交流会を機に意見を交換しあうことで、現代の理想の研修病院、研修医像に一歩近づくきっかけになるのではないか、と考えました。
良い点
給料が高い
手技ピッチがある
患者さんの外来を持てる
外科で執刀ができる
主治医制を採用している
当直中の食事を手作りしてくれる叔母ちゃんがいる
休みが確保されている(メモリアル休暇がある)
院内旅行がある など・・・・・
悪い点)
給料が低い(当直代が安い)
手技の回数が少ない
当直回数が多い
食堂が少ない
一人一人のカルテがない など・・・・・・
第2部 ヒヤリハット
医療訴訟が増加の一途をたどる今日において、ヒヤリ・ハットや医師としてのマナーを改めて振り返る重要性にも着目しました。普段会うことの無い各病院の研修医達が、お互いの失敗談を共有する機会はあまり得られるものではありません。他山の石として教訓にすべく、活発に議論していただければと思います。
具体例
麻酔薬の希釈を間違えて原液で投与した
患者さんの取り間違え(間違えてオーダー)
針刺し事故
筋弛緩とアルチバを間違えて投与
動脈ガスと静脈ガスを間違えて酸素投与したら、ナルコーシスになってしまったなど・・・・・・
第3部 僕らがつくる理想の研修病院
第1部で出た意見を踏まえ、研修医にとって理想的な研修病院像を 4 項目『研修医プログラムの特徴』『処遇・福利厚生』『研修医の活動』『目指す医師像』についての協議し、架空病院の募集要項としてスライド作成して発表した。
『研修医プログラムの特徴』
・教育理念:成長を応援する病院 ・Feedback が充実した熱心な指導体制 ・豊富な手技の機会
・責任感を養う ・診療科の選択自由度が高い
『処遇・福利厚生』
・給料 手取り 50 万円/月 ・ボーナスあり ・院外研修の補助あり ・充実した職員食堂 ・一人一台PC 支給
『研修医の活動』
・研修医主体の勉強会 ・研修医同士の活発な情報交換 ・指導医や他職種からのレクチャー
『目指す医師像』
・自立した医師 ・責任感を持った医師 ・後進を育てられる医師
研修医のためのマナー講座
普段はあまり気にすることのないマナーについて当院研修医が講義を行った。患者に対するマナーを見つめ直すことで、患者とのコミュニケーションもより良いものになっていくのではないか。患者の不満を知ることで自分たちのマナーを見直すきっかけとなった。
また、患者だけでなく、指導医や看護師が研修医のマナーに関してどのような印象をもっているのかアンケート結果を報告した。患者さんや指導医、看護師とのコミュニケーションを見つめ直すきっかけとなった。
指導医ディスカッション(第一部)
テーマ「新専門医制度について」 参加者 21 病院 指導医30 名
・専門研修プログラム登録システムの統括責任者のパスワード送信について、10月初旬に送信しているとのことだったが、本院4基幹施設の統括責任者には送信されておらず、こちらから催促し、漸くパスワードが送信された。すでにシステムが正常に働いていないのでは。
・1プログラムしか応募出来ない。(もし失敗したら何度も受験しなくてはならない)3 次募集もあるのか。
・内科専門医制度のプログラムは、複雑になりレアケースへの対応(色んな所を回らなくてはならなくなった)、剖検数の確保も課題である。
・基幹施設の専攻医と連携施設として受け入れる専攻医が定員数の通り年々増加した場合、場所及びデスクが不足する。
・初期研修医は何とかフルマッチしているが、大学病院で後期研修を行う者が多く、残る者が少ない。どうやって後期研修に残すかが課題である。
・昔の大学の医局人事とあまり変わらないようになるのでは。
・診療科によっては、大学からの圧力が強く後期研修医を取りにくい。
・初期研修を3年システムで行っていたが、新専門医制度により2年システムに変えた。専攻医がごっそり抜けてマンパワーの低下につながるのではと悩んでいる。
・病院相互間(基幹施設と連携施設)の給与体系が異なり、専攻医の身分が不安定になる場合もあるのでは。
・初期研修を修了し地元に残って欲しいと思っている。地元の大学病院のプログラムに登録し連携施設として派遣してもらうようにしている。
・連携施設として大学病院と良好な関係を保たなければならない。
・新専門医制度について、研修医が十分に理解していない。行政を含めて宣伝が足らないのでは?
・県全体で医師育成・確保の為、地元の大学病院と県内の大きな病院でローテイトする奨学金による臨床研修システムが以前からあるので大学病院が強いという傾向はない。
・後期研修に残るような初期研修医を優先して取っている。
以上のように地域によって特徴的な意見があり種々意見が出されたが、初期研修は、あまり問題はないようだったが、後期研修で残る者が少なく大学病院で後期研修を行う者が多いという意見が多く、どうやって初期研修医を後期研修に残すかを課題にしている病院が多かったように見受けられた。
○指導医ディスカッション内容報告(第二部)
テーマ「医師の働き方改革について」 参加者 21 病院から指導医32 名の参加
政府が働き方改革に取り組んでいる理由について、改革の最大の目的は、一億総活躍社会の実現であり、今後予想される労働人口の減少に対応するため
①働き手を増やす
②出生率を上げて将来の働き手を増やす
③労働生産性の向上の三点を達成することにより改革を実現するとしている。
なお、本改革は、医師も対象となっているが、医師については、応召義務などの業務の特殊性を踏まえて規制の適用が先延ばしとなったが、2年後を目途に論点を整理しなければならないとされている。そこで今回お集まりいただいた各病院の研修医やスタッフ医師の勤務体制の現状について報告をしてもらった。
