研修医・指導医交流会
第6回 臨床研修医・指導医交流会
開催情報
報告書
概要
日時:2018年11月10日(土)13:00~17:30、懇親会 18:00~20:00 高知パレスホテル
11月11 日(日)09:00~12:00
場所:近森病院 管理棟 3 階会議室
主管:社会医療法人近森会 近森病院
参加病院:22病院(指導医31名 研修医84名 事務10名 VHJ機構3名)
※当院参加数含む
テーマ『 志国高知 研修医維新博 』
第1部 我が病院を今一度せんたくいたし申候 ~自院の再認識~
自分たちの研修病院を他院と比較することで、自院の良さを再確認すると共に、改善点や新たに導入したいことなど新たな視点を持つことを目的とし、「①研修制度」と「②処遇」について藩ごとにディスカッションを行った。
①研修制度については「2 年間の研修中、同じ患者さんの外来を継続して診られる」や「手技ピッチがある」、「当直明けは指定時間に帰れる」等、②処遇については「研修医旅行や医局旅行がある」、「住宅補助がある」といった複数の病院に共通するものから「自動車を安く買える、または貸与がある」などといった独自の処遇も挙げられ、自施設について改めて見直す機会となった。
第2部 【研修医セッション】 脱藩への道 ~指導医へのホンネ~
指導医とは会場が分かれて、研修医のみで、普段指導医を目の前にしては言えないホンネを共有し、藩毎にサマリー形式でまとめて発表した。ディスカッションの対象となる架空の指導医像を、あらかじめ主訴や現病歴を定めた症例に見立て、2 症例を 3 藩ずつに分けて話し合い、各藩で自分の体験談などを交えつつ、症例の指導医への対処法、改善策などを考えた。作成したサマリーは印刷し、懇親会会場にて各テーブルに配布して指導医とも共有した。
<症例1への対処法>
研修医だけでなく指導医のメンタルヘルスも必要、指導医が興味をもっている話題をリサーチしておく、飲んで発散する 等
<症例 2 への対処法>
研修医がしっかりしないといけない、研修医に対する指導の心構えや指導方法を学んでもらう、患者について自分で考えてから指導医にコンサルトする、怒られるときは我慢する 等
第2部 【指導医セッション】 新専門医制度について(意見交換)
参加者:19 病院 指導医 23 名
・新専門医制度には専門の担当部・委員会を院内に設置し、対応している。
・ある診療科では定員を満たす専攻医が集まったが離脱者が相次いだ。専攻医が満足するプログラムにする必要がある。
・初期研修医から後期へ残ってくれる先生もいるので、初期研修医は大切にしたい。
・若手の内科専攻医の確保が喫緊の問題。残ってもらえるように初期研修医2年目の最初から勧誘を行っている。
・専門医制度に乗らない研修医が何人かいる。大学でないとダメだという概念があるように思う。
・大学が強く、専攻医が来てくれない。旧制度との違いは、後期研修のことを考えて初期研修の病院を選択する人が増えてきているように思う。
・制度的には大学が強い傾向にあるが、VHJ 機構会員病院間で連携したい。
・VHJ 機構として取り組むためには、具体的にはサブスペ領域ごとにワーキンググループを立ち上げて検討を行う必要がある。
・麻酔科は学会主導で数年前から毎年段階的にプログラム等を改変していたので大きな影響はない。
・総合診療科のプログラムを申請したが、僻地と組んでいないという理由で承認されないことがあった。
・専門医制度のコンセプトは悪くないが、病院間の連携などに関して事務的な手間が多く、問題が多い。
・専門医制度の弊害として初期研修でのローテートがポイントラリーのような感じになってしまっているように思う。
初期研修にも専門医制度の影響が出てきているとの意見が相次いだ。院内の初期研修医が専門研修・サブスペ領域研修まで残るようにするにはどうすれば良いか、大学に負けない魅力あるプログラム・仕組みを各病院だけでなく、VHJ 機構の会員病院でどう取り組むのか、今後の課題とした。また、医師の働き方改革についての意見交換も行われた。
第3部 研修八策 ~理想の研修医とは~
坂本龍馬が日本の新国家体制の基本方針として起草した船中八策に倣って、理想の研修医として必要なことを8つの策にまとめ、「研修八策」を作成した。事前に実施した指導医アンケートの結果や、他の藩の八策も参考にし、八策を作成することで今後の研修医生活において理想の研修医(デキレジ)となるための具体的な目標を持つことができた。
※実際の研修八策の一例
タイムマネジメントを意識する事、社会人としての常識は大事、プライドは捨てずにポッケにしまう事、遠慮せず貪欲である事、患者さんの立場に立つ事、旅行した際にセンスのいいお土産を買ってくる事、向上心を持つ事、目的意識をもって行動する事
第4部 あなたにとっての理想の乙女姉やん ~研修医のメンタルヘルス~
メンタルヘルス対策として各病院で行われているところもあるメンター制度について、どのようなメンターが坂本龍馬にとっての乙女姉やんのような相談しやすい理想のメンター像であるか考えてもらった。乙女姉やんの紹介の後、日頃研修医が抱えるストレスについて話し合い、10 項目(お金、指導医、勤務時間、日勤当直、環境、同期、先輩後輩、コメディカル、患者、進路)の中で最もストレスと感じるものを 1つ選び、「あるあるエピソード」を交えて話し合い発表した。その後、研修医にとっての理想のメンター像=乙女姉やんを考えてもらい、イラストを描き、細かい特徴やユニークさを加えて発表した。
※各藩の考えた理想のメンター像
特徴:30代で子持ち、清潔感があり石鹸のにおいがする、飲みに連れて行ってくれる、優しいだけでなく、しっかりと指導もしてくれる、ほめ上手
また、会場の指導医からは「指導医には旬の時期があり、このような慕われる人物像は 30 代までで、40 代になるとだんだん衰えてくる」といった意見も出された。最後に研修医たちに、近い将来自分たちもメンターの立場になることを踏まえ、このような人物像を目指すようにというメッセージを送り終了した
第5部 発表 研修医維新 ~研修医の夜明けぜよ~
2日間のセッションを通して考えた理想の研修病院像や研修医像、指導医・メンター像を踏まえ、明日から実行できる具体的行動について各藩で意見をまとめた。
各藩から「朝ごはんを食べる(時間と体調の管理ができる)」、「2 日間の事を他の研修医や指導医、臨床研修センターの人と共有する」、「大胆な小心者であれ(些細な先回りをする、手技へのアンテナを張る、仕事を楽しむ、患者さんを大事にする)」、「明日から愛され研修医に、いつかは愛され指導医に(患者さんに対してはたくさん話を聞く、朝の回診・病状把握をする。指導医に対しては元気に挨拶する、自分の意見をしっかり伝えて feed back をもらう。メディカルスタッフに対しては病棟で仕事をする、高知のお土産をあげる(職場なら小袋に入っている等渡す相手を考える)。)」など、今回の交流会を通じて明日から実行することをまとめて発表した。
