研修医・指導医交流会
第7回 臨床研修医・指導医交流会
開催情報
報告書
概要
日時:2019年11月2日(土)13:00~17:30、懇親会 18:00~20:00
11月3日(日)09:00~12:00
場所:倉敷中央病院 大原記念ホール、懇親会 倉敷国際ホテル
主管:大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院
参加病院:20病院(指導医28名 研修医85名 事務12名 VHJ機構2名)
※当院参加数含む
テーマ「『れいわ』 連携し 医療をよくする 輪を作ろう︕」
初期研修およびその後のキャリア形成において、直面しやすい問題点をこれまでの振り返りアンケートや今回の事前アンケートをもとに挙げ、研修医・指導医、時には合同に意見交換を行った。また他病院との意見交換をふまえ、これまでの自病院を振り返り今後継続する点・改善する点の発表を行った。
今回の交流会では以下の工夫を行った。1)指導医にもテーマを決めたセッションを用意し、事前に発表を依頼し活発な議論を目指した。2)最後に研修医と指導医が病院ごとに集まり会を振り返りつつまとめを作るセッションを設けた。
セッション1:研修医・指導医別セッション
研修医「各病院の良いところ・変えたいところ」
①ER での研修(意見交換・パワーポイント作成 15 分、代表班発表 5 分)
<ERでの指導体制について>
ERでの指導体制は、指導医に検査・治療を行う前に全て相談をするか、研修医が検査をすすめ困ったときに相談するかが半分ずつであった。各々のメリット、デメリットを話し合い、よりよい体制を考えた。当日も意見はほぼ二分していた。すべて相談する場合、安全性は担保されやすいが自主性に欠け時間がかかる、一方で相談する場合、自身での考察力は高まるが、安全性に欠ける場合がある。実際には、研修医の習熟度に合わせて変化させるのが望ましいとの意見が多く見られた。また病院内で指導医間での指導体制の違いをできるだけなくしてほしいとの意見が多く出た。
<ER での手技について>
気管内挿管・腰椎穿刺・中心静脈確保などを研修医が救急外来で行う機会は少なく救急外来で行うべきか、他の場面との比較をふまえ話し合いを行った。他の場面よりも緊迫感があるが、侵襲的な手技を救急外来で行うことについて賛成の意見が多かった。ただし、安全面を考慮し一定レベルに達していることを確認できてからするべきとの意見も見られた。
②勉強会(意見交換・パワーポイント作成 15 分、代表班発表 5 分)
<勉強会をより充実させるために>
各病院とも勉強会が行われているが、出席できないときもある。より出席率を上げる工夫やどうしても出席できないときのための対策について話し合った。出席率を上げるための工夫としては、食事の時間を有効活用する(ランチョン形式など)が多く見られた。また時間外勤務として記録できる病院もあるようだった。参加できないときのために、映像として残す、当日の資料を共有するなどが挙げられた。
③福利厚生について(意見交換・パワーポイント作成 15 分、代表班発表 5 分)
<当直明けに制度どおり帰宅するためには>
当直明けに業務開始と同時に帰宅もしくは午後から帰宅する制度がある病院は 90%近くであるが、実際に制度通り帰宅は難しい。制度通り帰宅する工夫を話し合った。当直明けに勤務することは、研修医の働きやすさだけでなく、医療安全の面からも重要であるとの認識は多くの研修医が持っているようであった。しかし、研修医単独では帰宅を実現することは難しく、病院全体を上げて取り組み各科に周知徹底を行うことが必要という意見が多かった。その他にピッチを預ける、カルテにログインできないなど強制的に仕事をしない環境も必要という意見も見られた。
<自慢の福利厚生>
他の病院に自慢したい福利厚生を発表しあった。
指導医「専門医プログラムを受け入れる側の問題点と負担軽減の工夫」
専門研修プログラムを運営するにあたり、各病院が直面しているであろう募集およびプログラム運営について各参加病院から取り組みや問題点を発表していただき、意見交換を行なった。
①募集について
採用に際していくつかの病院から広報活動の一例(HP の運用・体験型講習会・勉強会の公開・SNS での発信等)を紹介して頂くとともに、各病院の課題・取り組みについて討議した。
②プログラム運営について
専攻医の研修進捗管理や、未修了者への対応、派遣・受入のルール、連携施設での研修中の休職扱い等、新専門医制度に関する様々な問題点を共有した。初期研修医を専攻医として残すことや大学との関係性を課題としている病院が多く、いかに魅力的な研修プログラムを作るか、その取り組みをどう発信するかや専門医を取得した後にも学べる環境を整える重要性についても議論が及んだ
セッション2︓研修医・指導医合同セッション
「教育プログラムの”今”と”昔”」
現在の研修医、現在卒後臨床研修で研修を行った指導医、行ってない指導医のそれぞれで手術・当直・告知・お看取りがどのように変化したかを比較した。研修への影響を考え、さらによい研修とするためのヒントを探った。手術や当直については、以前と比較すると手術執刀の時期は遅くなっているという指摘が出た。一方で、現在の研修制度では、外科系診療科に進まない研修医でも外科系研修を受けることができ、基本的な外科手技の習得や、外科系診療科への興味向上に有用だという意見も見られた。
当直に関しても、以前よりも診療に対するフィードバックなどが増えており、指導体制は充実してきているようであった。一方で告知やお看取りに関しては研修医が単独で行うことは以前から少なく、現在と過去の研修において大きな差はなさそうであった。またお看取りの研修を希望する意見も見られた。
セッション3︓研修医・指導医合同セッション
「教えて、指導医︕」
事前アンケートの結果より作成した普段、指導医に聞いてみたいが聞きにくい質問に回答いただいた。特に「働き方改革は研修医のレベルをさげるか」に関しては、指導医からの回答だけでなく研修医から追加質問もあり非常に活発な議論が行われた。また働き方改革を行う上で、どこまでを業務とするべきかも重要な課題であることが認識された。
懇親会
場所:倉敷国際ホテル 時間:18:00-20:00
病院ごとにステージ上での自己紹介と自由歓談を行った。
セッション4︓研修医・指導医別セッション
研修医「初期研修終了後のキャリア形成」
各世代の医師を対象としたアンケートによると 30 代の医師の 60%以上が志望科を決定する際にかなり悩んでいる。また現在は入局を考えていない医師も一定数を占めており、「志望科をどのような視点から決定するか」「入局」について話し合った。志望科に関しては、診療科への興味、雰囲気、今後の進路が描きやすいか、人生のイベント(結婚、出産、子育て)などと両立しやすいかなどが挙げられた。入局すると、研究や留学などの選択肢も増え、多くの指導医から学ぶことができるうえ働き口に困ることは少ないことがメリットとして挙げられた。一方で、自分の希望する進路に進めない可能性があること、転勤が多くなることなどが懸念事項として挙げられた。
指導医「研修医のキャリア形成のサポート体制について」
研修医のキャリア形成にあたり、指導医ならびに病院が対応を求められる3項目について自由に意見交換がなされた
①問題のある研修医・専攻医
新専門医制度に関し、他院から受け入れた専攻医が病院の雰囲気を知らずに研修に来たため、馴染まなかった事例が紹介された。各病院間での派遣・受入が活発になるにつれ、このようなケースへの対応が求められる可能性がある。
②サブスペシャルティへの対応来年度末に専門研修修了者が予定されているものの、未だ専門医機構から明確な方針・スケジュールが出ておらず各病院対応に苦慮しているのが現状である。
③全体的なキャリア形成支援いくつかの病院より、自病院でのキャリア形成支援事例(週 1 日 自己研鑽の機会を与える、マネジメント研修、病院幹部・多職種での合同研修、臨床研究、学会発表支援等)が発表された。
長期的な視点に立ち指導していきたいものの対象となる医師が多忙のため、なかなか参加を勧められないケースや本人のキャリア選択により指導が中断されてしまうケースなどもあり、指導医のみならず病院としてどう向き合っていくのか活発な議論が行われた。
セッション5︓研修医・指導医合同セッション
「目指す道に進むために」
これまでのグループ毎ではなく2日間の話し合いをふまえ病院ごとに「研修医終了後の理想像」「そのために継続したいこと、改善したいこと」を話し合い、発表した。2日間の話し合いにより自病院の強み・改善点をより明確化することができており、各病院で今後の課題についても具体的に決めることができていた。
各病院で今後に活かすことができることを願う。
